身近な避暑地
長野新幹線で大宮から1時間。
避暑地で有名なこの土地も、この時期はひっそりとしている。駅前の通りを北へ向かってしばらく歩くと、見慣れた商店街へ出た。
右に有名なパン屋さん、左に家具屋さんを見ながら少し奥へ進むと、お目当ての店に到着した。中に入ると先客が珈琲を静かに飲んでいる。いつもと変らない風景だ。
店員に勧められカウンター席へ座る。目の前には沢山のカップが紫色のタオルの上に並んでいる。
カメラのホワイトバランス(WB)をオートで撮ると残念ながらこのタオルは紺色になってしまった。慌てて白熱灯に切り替えて撮り直す。レンズの向こうでは、いつものように手際よく珈琲を抽出していた。
このお店は客のイメージの合ったカップに注いでくれる。私は大抵同じようなカップになるから、他の人もきっと同じであろう。そんなことを考えながらいつもと同じように『高いが旨いお菓子』のショコラをオーダーした。
目の前に置かれた珈琲の香りを楽しみながら、ゆっくりとカップを口に運んだ。口の中から咽を通過するとき、やっぱりいつもと変らない味だということを知る。でもここは、関東地方なんだよなー新幹線にも乗らなかったし(笑)
軽井沢の美味しい珈琲とデザートが味わえる、『茜屋珈琲店』大宮店(TEL048-644-2411)にて。
【茜屋珈琲店】神戸三宮に昭和41年創業。当時珈琲1杯七・八十円の時代に珈琲の味と憩いの場を提供し「九百九十五円コーヒー」を出し話題を呼んだ先代店主である船越氏が軽井沢に移り住んだのが始まりとのこと。哲学者の谷川徹三氏や作家の遠藤周作氏・阿川弘之氏の他、ソニーの盛田昭夫氏など各界の著名人が来店されていたようです。一杯ずつ丁寧に煎れた珈琲を、お客の雰囲気に合わせた器で提供するという、人と人の出会いを演出するサロン哲学が今も受け継がれている素晴しいお店です。